ブスと同窓会とイケメン選手権
「ねえ、どっちがイケメンだと思う?」
そう言いながら彼女は私の前にスマホを見せました。
どうも。ブスです。前回の日記で「女はブスを利用する」みたいな事を書いた気がしますが、私もその一節で可愛い友達と会話できたりします。今日は14のとき同窓会に行った話です。
で、それがなんの同窓会かって話なんですけど、小学校なんです。小学校で同窓会して意味なんかあんのかって感じなんですけど、まあ呼ばれたから一応行ったんですわ。案の定女子と男子で別れて、何が同窓会だ、こんなんアホガキの集まりじゃねえかってなったんですけどね。男子なんて新婚の先生にセクハラしてたしな。せめていうなら企画を立ち上げてみんなにLINEを送った男子が偉いか。
男女別れてしまったことで女子の方はプチ女子会みたいになりました。
といっても女子は6人くらいしか集まらなかったのですが、まあ「うちの学校の〇〇マジキモイ」「彼氏マジキモイ」「教師マジキモイ」「××はイケメン」「それな~」の生産性のない話を2時間ぐらいぶっ通しですわ。他校なのにわかんのかよ。でもみんな顔可愛い女子だから許した。テキトーに相槌売って参加してました。てかよく聞いてると結構面白かったりした。この時間は楽しかった。
そうしているうちに「どの写真の誰が1番イケメンか選手権」もどきが始まって、みんな真剣に議論し始めました。
スマホに入ってる自分の学校の男子の写真を持ち寄って品定めするんです。築地か。
「目が細い」とか「ヒョロヒョロでキモイ」とか「えッでもコイツ生で見るとイケメンだよ!」とか。誰もわかんねえよ。そして「わかる~」いやわかんのかよ。この話は本当に面白くなかった。
いよいよ選手権はクライマックスになり、残すとこ2人になりました。確か両方細身でクッソつまらなそうにしてたと思います。一方はもうパンツ丸見えじゃねえか、誘ってんのか、上等じゃねえかって位ズボン下ろしてました。
ここで本当なら女子の中でいわゆる「王」が自分の好みをいい、他の子がそれをちやほや褒めたたえるみたいなサバトが開かれるはずだったのですが、王は欠席でした。よってガチバトルが始まります。とうとう女子は多数決をはじめました!!!鳴り響くゴング!!!
それを横目で見ていた男子、呆れています。まあ多分そうでしょう。男子がグラビアモデルの写真を寄せあって、「この子が可愛い」「おっぱいがエロい」「このスタイルよ!」と談義してるのと大して変わらないのですから。というか肯定的な会話だな。こっちの方がいいわ。いや自分の性癖もあるけど。自分の性癖が90パーセントか。
多数決の話に戻りますが、全く興味のなかった私は3対3で引き分けになるようにいい感じに手を挙げておきました。「どっちもかっこいいってことか~!!」「じゃあ今日は解散!お疲れ様~!」
この流れを期待して。
すると女子のうち一人が、
「えっ!!dekuちゃんそっち派なの!?絶対こっちだと思った!!!え~!?なんでなんで~!!!??」
と聞いてきました。私が何も話してないことがモロバレで、「そうよ~」「理由が知りたい」などと引っかけてきたのです。おまけに、「dekuちゃんは女子校だから男とかウブそう」とか言ってくるではありませんか。うるせえ。ほっとけ。正論やめろ。どっちも藤原竜也に比べたらクソブスじゃ。
とはいえ、ここでブチギレてはLINEグループから退出&永久浮上確定です。なんとかして理由をこしらえなくてはなりません。
「え~………………」
ここで私は小学校の時の初恋の相手を思い出しました。ええ。ブスも初恋をするんですよ。まあそれは置いといて。相手の彼のことをお話します。
彼は元々私をイジメるクソガキクソ野郎でした。私のことを「ボク大橋のぞみババア」なんてあだ名をつけました。ちなみに私の名前には「大橋」も「のぞみ」も一切ありません。どっからきたんやそのあだ名。
しかし彼は四年生になる頃、家庭環境で何かがあったらしく、一時的に特別学級に転校しました。特別学級とは、家庭環境や周りの生活環境に問題のある子供たちが親元を離れ集団で暮らす学校のようなものです。
彼が一年して帰ってきた時、もうそこに元のクソクソ餓鬼野郎の彼の面影はありませんでした。
クラスのみんなとは何か一線を制した、大人びた少年になっていたのです。
一番悪口やイヤミを言ってブスを泣かせていた彼は、一番いじめや悪口を嫌う物静かな人間になっていたのです。
ブスの私はそのミステリアスさと、優しさに惹かれました。ギャップ萌かも知れません。事実彼は虐めていたブスと仲良くしてくれるような、男女差別することなく遊んでくれる優しい子供になっていました。
ちなみにその子と仲良くなって後、公園で一緒に股を開いて
「ちん国際空港!!!!!!!!」と叫んだのはかなりの黒歴史です。気になる人は「楽しんご 新羽田国際空港」で検索してね。
と、このようなブスのゴミカスみたいな思い出を思い出した私は、立ち塞がる女子の前に次のように理由を述べたのでした。
「なんか……性格よさそうじゃん?」
「は?」
「今イケメンかどうかの話をしてんだけど……」
「あ~やっぱdekuちゃんてウブだわ。すぐ男に騙されるよ。そんなんじゃ。」
と、かくして私は女子5人から有難い「男に弄ばれずに男を捕まえるオンナの流儀」をみっちり教えられたのでした。お前ら14で何がわかるんだよ、と今なら思うのですが。その時の私はしずしずとお話を聞いていました。男子は男子でもう飽きちゃって最近結婚したばかりの先生に「もう〇〇Xした!?!?」とか大声で聞いてるし。馬鹿か。
……と、これが14の時の同窓会でした。なぜ今更になってこんなことを書くのかと言うと、もうそろそろまた小学校の同窓会が行われるからです。こんなにいちいち開かなくてもと常々思うのですが。
しかし、万万万が一の可能性でもしかしたら前回よりマシになってるかも知れません。女子はイケメン選手権を、男子は先生のセクハラを辞め、今度こそ女子と男子は仲良く混ざって話す事ができるかもしれません。それにあの時一番大声で「〇〇X」と言っていた男子はその後開成高校に進学するエリートになったのです。めっちゃカッコええ。
人間は異性に対して何に一番魅力を持つのでしょうか。なんとなくそんなことを思いながら、次回の同窓会を楽しみにしています。一番異性と縁がないであろうブスでした。